尖閣諸島海域で出現した「日中台三つどもえ」の構図

執筆者:野嶋剛 2013年1月27日
エリア: アジア

24日、台湾の抗議船が尖閣諸島に接近、上陸を試みた、というニュースが流れた。実のところ、今回、尖閣諸島海域で日本、中国、台湾の公船がすべて顔をそろえ、対峙するという歴史上初めての出来事だった。興味深く、重要な示唆を含んでいるので、当時の状況をかいつまんで紹介したい。

24日午前2時45分、台湾北部・基隆市の港から台湾の活動家が乗った「全家福号」が出航した。「全家福号」の出航目的は航海の安全を守る民間信仰の媽祖という神様の像を、尖閣諸島に安置するためとされている。そして、「全家福号」の警護という理由で、台湾の海巡署(海保に相当)の巡視船4隻も台湾から出航した。「和星艦」「連江艦」という2隻の中型の巡視船と10018、10050という識別番号がある2隻の小型艇から編成されていた。

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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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