異文化としての女子サッカー

執筆者:星野 智幸 2013年4月1日

 2004年アテネ五輪、女子サッカー準々決勝。初のベスト8に進んだ日本は、優勝候補アメリカと対戦した。試合はいつものごとく劣勢ながら、日本は山本絵美が右足から繰り出す美しいフリーキックで同点に追いつき、アメリカに食らいついていた。

 アメリカは、1990年代に女子サッカーが本格的に発展し始めたときから、世界のトップに君臨している。アメリカでは、フットボールと言えばアメフトを指し、スポーツの中でも最高位に君臨していたのに対し、サッカーは女子どもやヒスパニック系移民のスポーツという扱いだったため、伝統とも花形スポーツのプライドとも無縁に、独自の発展を遂げたのだ。

カテゴリ: スポーツ カルチャー
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執筆者プロフィール
星野 智幸(ほしのともゆき) 作家。1965年ロサンゼルス生れ。早稲田大学第一文学部を卒業後、新聞記者をへて、メキシコに留学。1997年『最後の吐息』(文藝賞)でデビュー。2000年『目覚めよと人魚は歌う』で三島由紀夫賞、2003年『ファンタジスタ』で野間文芸新人賞、2011年『俺俺』で大江健三郎賞を受賞。著書に『ロンリー・ハーツ・キラー』『アルカロイド・ラヴァーズ』『水族』『無間道』などがある。
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