李克強と安倍晋三とリー・シェンロン――政治リーダーの英語

執筆者:野嶋剛 2013年4月7日
エリア: アジア

 中国の新指導部で首相に就任した李克強は非常に英語が達者であるという。中国の新華社など公式メディアが盛んにその点をアピールしていた。いまどき指導者の英語のレベルがニュースになるのも不思議な気がするが、過去に中国の指導者で英語が流暢だった人はあまりいなかったことも関係しているだろう。

 李克強は自宅でも妻や娘と家族で英語を使っているというエピソードも紹介されていた。かなりの英語マニアに違いない。李克強の英語力をチェックしてみることにした。

 2年ほど前、香港の香港大学創立100周年の記念式典で、当時副首相だった李克強は英語でのスピーチを2分ほど行なっている。最初は中国語だったが、最後は英語で締めくくった。香港大学は英語教育で有名な大学ではあるが、香港における英語は英国植民地の歴史が残した「負の遺産」でもある。李克強が英語を使う必要があったかどうか疑問だが、あえて英語のスピーチに挑んだところに、英語に対する自負心とこだわりを感じる。

カテゴリ: 政治 カルチャー
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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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