政治をゼロから考える (18)

日本において「保守とリベラル」「右と左」は何を意味するか(後編)

執筆者:宇野重規 2013年4月15日
エリア: アジア

質問 「保守とリベラル」と「右と左」はどう違うのですか

 

 前回、「右と左」、あるいは「保守と社民」がどちらかといえばヨーロッパ的であり、「保守とリベラル」がむしろアメリカ的であると書きました。これらの区分法は何となく日本の政治を説明する際にも使われてきましたが、いまひとつしっくりこない感じも残ります。そうだとすれば、日本における政治的立場をあらわすのに、どのような座標軸が有効なのでしょうか。

 

憲法と安全保障を対立軸にした「保守と革新」

  戦後日本政治において長く用いられてきた枠組みに、「保守と革新」があります。1955年、それまで分裂していた左派社会党と右派社会党が接近し、日本社会党を再統一します。これに対して危機感を抱いた財界からの要請もあり、保守政党の自由党と日本民主党が合同し、自由民主党を結成しました(保守合同)。ここに「保守」の自民党と、「革新」の社会党とが対峙する、いわゆる55年体制がはじまります。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
宇野重規(うのしげき) 1967年生れ。1996年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。東京大学社会科学研究所教授。専攻は政治思想史、政治哲学。著書に『政治哲学へ―現代フランスとの対話』(東京大学出版会、渋沢・クローデル賞ルイ・ヴィトン特別賞)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社、サントリー学芸賞)、『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)、共編著に『希望学[1]』『希望学[4]』(ともに東京大学出版会)などがある。
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