金正恩の道具と化した西側メディア

執筆者:春名幹男 2013年4月15日
タグ: 金正恩 北朝鮮
エリア: 北米 アジア

 米下院情報特別委員会で4月11日行なわれた公聴会。緊迫する朝鮮半島情勢をめぐって、興味深い証言が相次いだが、最も重要だったのはジェームズ・クラッパー国家情報長官の以下の発言だった。

「私は1968年のプエブロ号事件や1976年のポプラ事件を経験しているが、緊張という点では今より当時の方が実際ずっと厳しかった」

 クラッパー長官は、米国家安全保障局(NSA)の情報収集船プエブロ号が北朝鮮に拿捕された際には、米軍内で信号情報(SIGINT)の仕事を担当、非武装地帯の共同警備区域内でポプラの木を切ろうとした米兵2人が北朝鮮兵に殺害された時にはハワイの太平洋軍司令部にいた。両事件の時の方がもっと緊張状態にあった、というのは、恐らく双方とも戦闘準備態勢を敷き、一触即発の危機に陥ったことを意味するのではないか。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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