華人企業家に「正しい納税」を求めたアキノ大統領

執筆者:樋泉克夫 2013年4月20日
タグ: 中国 シリア
エリア: アジア

 その時、会場にいた700人を超えるフィリピンの華人企業家は唖然と声を失い、また呆然としたに違いない。なんとアキノ大統領から「正しい納税」を求められたからだ。

 3月22日、マニラでのこと。フィリピン全土から750人の有力華人企業家が集まり、フィリピン華人社会を統括する菲華商聯総会(FEDERATION OF FILIPINO-CHINESE CHAMBER OF COMMERCE AND INDUSTRY,INC.)の第29回代表大会が開催された。

 2年に1回開かれる同大会へのアキノⅢ世大統領(以下、アキノ大統領)の参加は2011年の前回大会に続いて2回目。今回は内務、司法の両大臣に加え、華人系の税務局長を引き連れて出向き、菲華商聯総会を筆頭とする華人団体が積極的に進めている教育、医療、災害救援などの慈善事業のフィリピン社会に対する高い貢献度を賞賛し、中国語で何度も「謝謝你們」と口にしていた。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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