南方週末事件の「清算」が始まった――狭まる言論空間

執筆者:野嶋剛 2013年4月23日
エリア: アジア

中国の新聞出版広電総局が出した1本の「通知」が中国のネット界を揺さぶっている。内容を読む限り、今年1月の南方週末事件でメディア関係者による中国版ツイッター「微博」などを活用した素早い情報拡散にしてやられた形となった当局が、数カ月の沈黙の後に、「第2の南方週末事件」の封じ込めに繰り出した対抗策とみて間違いないだろう。

通知のタイトルは「ニュース取材・編集人員のネット活動管理についての通知」。

それによれば、「新聞の編集・取材人員は肯定的な宣伝を主とする方針のもと、伝統的メディア、ネットニュース、ブログ、微博などの主流情報を利用し、社会世論を導き、有害情報の浸透や伝播に抵抗し、権威あるルートで確認が取れたもの以外のネット情報は報道してはならず、ネット上のうわさや流言、類推情報を流したり、転載したりしてはならない」とされている。通知は3つの「いっそう」を提唱しており、「ニュースの編集・取材の行為をいっそう正しく行ない、メディアのウエブニュースの管理をいっそう強化し、メディア関係者が行なうブログや微博の管理をいっそう強化する」とうたった。

カテゴリ: IT・メディア
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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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