ウォルフォウィッツ的思考とは何か

「ネオコン」と呼んでおしまいにしては、この男の本質も、アメリカの政策の意味も、理解することはできない。人物像の深層に迫る。 対イラク戦争の設計者と呼ばれたポール・ウォルフォウィッツ国防副長官の留任が決まった。ウォルフォウィッツの留任はイラクでの戦闘が続行中ということを根拠とした消極的な留任に過ぎないのか。それともそこにより積極的な意味合いを読み取るべきなのか。 ブッシュ大統領二期目の就任演説は、「自由」を軸にした壮大な規模の変革を訴えるものだった。そこにウォルフォウィッツの思考の痕跡を見出した人は少なくあるまい。この底抜けに楽観的でナイーヴとさえ言える民主化論が、アメリカの「帝国的野心」を覆い隠すための“表の顔”に過ぎないとは言い切れないだろう。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
中山俊宏(なかやまとしひろ) 1967年生れ。慶應義塾大学総合政策学部教授、日本国際問題研究所上席客員研究員。専門はアメリカ政治・外交、国際政治。日本政府国連代表部専門調査員、津田塾大学国際関係学科准教授、青山学院大学国際政治学科教授を経て、2014年より現職。著書に『アメリカン・イデオロギー――保守主義運動と政治的分断』(勁草書房、2013年)、『介入するアメリカ――理念国家の世界観』(勁草書房、2013年)、共著に『アメリカ現代政治の構図』(東京大学出版会)、『アメリカのグローバル戦略とイスラーム世界』(明石書店)などがある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top