仕上げに苦しむトニー・ブレアの「最終章」

執筆者:土生修一 2005年5月号
エリア: ヨーロッパ

若き首相の颯爽たる登場から八年、ブレアはいま労働党初の「三連覇」をめざす。しかし、昔日のカリスマは消え、「ブレア政治」の仕上げすらおぼつかない。[ロンドン発]トニー・ブレア英首相は四月五日、ダウニング街十番地の首相官邸前で、記者団に総選挙の五月五日実施を発表した。相変わらず口調は歯切れがいい。しかし、「公共サービス改善維持」、「国民が主人公」、「(総選挙は)大きな選択、大きな決断」と月並みの言葉が並び、開戦宣言としてはパンチ力のない内容だった。 ブレア労働党政権が勝利すれば、労働党の三連勝となり、百年の同党史上、初めての快挙となる。さらに同一党首下での総選挙三連勝は、近年では保守党のサッチャー氏が一九八七年に達成しただけだ。

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