日本での犯罪は日本で裁かれるが、例えば米国での犯罪は米国で裁かれる。それぞれの国が国内の裁判管轄権を持つからで、国家主権と司法が密接に結びついている現代では、当たり前のように見える。
しかし、ある国での犯罪が別の国で裁かれることも、ないわけではない。その条件や法理論は複雑だが、わかりやすい例が、ジェノサイドや、人道に対する罪の場合だ。
これらの犯罪は国際秩序を脅かす性格を持ち、その影響は一国のうちにとどまらない。だから、犯罪者が処罰を免れてはいけないのだが、往々にして権力者自身や国家機関が手を染めており、その国の法制度で対応するには限界がある。だから、別の国家が、捜査や訴追に乗り出さなければならない――。このような考え方を、国家に縛られない管轄権であることから「普遍的管轄権」と呼ぶ。
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