そして外交は何処へ

執筆者: 2005年10月号
エリア: アジア

 これを書いているのは総選挙の投票日直前である。したがって選挙結果がどうなるのかはもちろんわかっていない。ただし新聞、テレビ、通信社の世論調査は、小泉圧勝の予測を一斉に伝え、今回ばかりは世論調査によって選挙結果が逆に動くといういわゆる「アナウンスメント効果」はなさそうだと解説まで加えている。この分では小泉政権は続投ということになるのだそうだ。そうだとしても来年九月まで、と信じこんでいたが、大勝すれば自民党総裁としての任期はさらに延長されるかもしれないのだという。  小泉政権続投だろうが、あっと驚く(それほど驚かないか)岡田克也政権でもどっちでもかまわないが、気になってしかたがないのは孤立しっぱなしの日本外交だ。選挙戦でも外交はほとんど争点になっていない。野党も小泉外交の失敗を指摘するだけで、どうしろという具体的な提案はない。靖国参拝反対だけでは具体的な提案とはいえない。なぜ、民主党は近隣外交立て直しのために、政権を取ったら真っ先に岡田首相が訪中する、と言わなかったのか。いまとなってはその可能性も限りなく遠のいてしまったように見えるが、小泉外交との違いを強調するためにも、また日中関係を根本から再生させるためにも、そのぐらいのことを言うべきだったのではないか。

カテゴリ: 政治
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