八〇年代の爆発的な感染増加を、国を挙げて沈静化したタイ。だが、いま再び感染率上昇の気配が――[バンコク発]車の波が続くバンコクきっての目抜き通り、スクムビットから歩いて二、三分入った閑静な一角に一風変わったレストランがある。カレーやトムヤムクンといった正統派のタイ料理を出す店なのだが、店内の壁のあちこちに、いろいろな国のコンドームの箱や実物が飾ってある。食事が終わって支払いをすると、お釣りと一緒に客の人数分のコンドームがついてくる。 店の名は「キャベッジズ・アンド・コンドームズ」。反エイズ・キャンペーンなどの社会運動家として知られるミチャイ・ウィラワイディア上院議員が資金集めのため二十一年前に開いたレストランである。キャベツと同じようにコンドームも身近なありふれた存在にしたい。そんな願いが店名に込められている。
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