まさに瓢箪から駒。JBIC解体を巡る政官財入り乱れての綱引きは、結果的に「戦略的外交」の礎となりうる変革を生んだ。「坂は許せん。自分が日本に戻るまで、この話は動かすな」 一月十七日、麻生太郎外相は訪問先のクウェートから国際電話で外務省幹部を怒鳴りあげた。「坂」とは一月に内閣官房副長官補に就任した財務省OBの坂篤郎氏のことである。麻生氏は安倍晋三官房長官ら関係閣僚などにも相次いでダイヤルを回し、坂氏の動きに乗らないようクギを刺したという。 当時、坂氏は官邸内でこんなアイデアを周囲に説明したとされる。政府の途上国援助(ODA)について、重要閣僚による戦略会議を設置すべきで、その事務方トップは自分が務める――。その情報が外務省経由で麻生氏に伝わった。
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