呆れるほど揺るがない「チェイニーの影響力」

執筆者:ルイーズ・ブランソン 2006年4月号
エリア: 北米

「ひとつのリンゴを三度かじる」と言われるチェイニーの政治スタイル。その人脈が蜘蛛の巣のように政官財界に広がっているからこそ――。[ワシントン発]二月十一日、仲間とテキサス州の狩猟場でウズラ狩りをしていたディック・チェイニー副大統領(六五)は、誤って親友で弁護士のハリー・ウィッティントン(七八)を撃って大けがを負わせた。 それに続く展開は、米史上最強の副大統領といわれるチェイニーが日頃いかに仕事をしているかを窺わせるに十分なものだった。まず、事故をすぐにマスコミに知らせず、翌日になって狩猟場の所有者から地元テキサスの記者にリークさせた。その後も公の場で事故について語ることを拒み、メディアと議員らの突き上げをくらってテレビの短いインタビューに渋々応じたのは事件から四日もたってからのことだった。しかも出演したのは保守的で政権に友好的なフォックス・ニュースだ。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
ルイーズ・ブランソン(るいーずぶらんそん) イギリス出身。英『サンデー・タイムズ』紙モスクワ支局長を経てフリーランスに。米『ワシントン・ポスト』紙元モスクワ支局長で夫のダスコ・ドーダー氏との共著に『ミハイル・ゴルバチョフ』『ミロシェビッチ――暴君のポートレイト』がある。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top