大胆になりきれない日本のエタノールビジネス

執筆者:秋谷葉一 2006年5月号
タグ: 日本

バイオマス導入を現実的な落とし所に導いたのは評価できる。だが、業界のためらいや抵抗勢力の存在が、大胆な一歩を妨げている。 バイオマス(生物資源)燃料を後押しする、ダイナミックな追い風が吹いている。今年の一般教書演説でブッシュ米大統領は自国の「石油依存症」からの脱却を公約した。消費の多い石油燃料の代わりに、エタノールに関心が集まる。特に、トウモロコシやサトウキビなどを原料とするバイオエタノールは、農作物を転用できることから、これまで欧米では農業補助政策に使われてきた。 だがいま注目すべきはその経済効果。米国の有力業界団体であるRFA(再生可能燃料協会)は、石油からエタノール燃料に転換するメリットを、「二〇一二年までに米国のGDP(国内総生産)を二〇〇〇億ドル(約二四兆円)押し上げる」と試算した。

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