いちど決まった計画は、需要がなくとも突き進む。赤字も平気な役人の、長きにわたる“成果”こそ、競争力なき空港と一兆円もの借金だ。 静岡駅から車で四十分、こんもりと丸味を帯びた茶畑をのぼると、眼下に東西に長く削られた平地があらわれた。牧ノ原台地の一角を切り崩した、静岡空港の滑走路予定地だ。標高は百三十メートルを超え、あたり一帯には霧がたちこめている。予定地内には、用地買収に応じない古くからの地権者(農家や酪農家)の土地が点々と残っている。 静岡空港はすでに二回も開港予定を延期しており、現在は二〇〇九年の開港を予定。県は未買収地の強制収用手続きを一歩進め、二月十三日に収用裁決申請を行なった。
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