「天安門事件」から「535」へ――「25年後」の空しさ

執筆者:野嶋剛 2014年6月4日
エリア: アジア

  1989年6月4日の天安門事件から、今年で25年が経過する。25年といえば、ほぼ1つの世代が過ぎ去った形だ。中国において「90後」と呼ばれる1990年以降に生まれた世代は、ある意味で「天安門後」世代であり、教育やメディアで情報が封鎖されたために、天安門事件を何も知らない若者たちだ。彼らはいま続々と大学を卒業して社会に入っている。

 

洗練度を増す「言論管理」の手法

 天安門事件の情報は、中国国内ではますます得にくくなっている。「天安門事件」は外国での呼び方で、中国人の間では「六四」と言えばだいたい通じるはずだったが、90後の若者たちは「六四」といっても分からないことが多いという。

カテゴリ: 政治 カルチャー
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執筆者プロフィール
野嶋剛(のじまつよし) 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)、『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)、『なぜ台湾は新型コロナウイルスを防げたのか』(扶桑社新書)など。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『香港とは何か』(ちくま新書)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com
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