「すまいるほーむ」ができるまで(下)人生の在り様を尊重する場所をめざして

執筆者:六車由実 2014年7月5日
カテゴリ: 社会 政治
エリア: アジア

 4月16日、夜。会社事務所にての聞き書き2日目。

 

事務所の起ち上げ

 ――前回は、老人病院や老健(老人保健施設)などの起ち上げや運営に事務長としてかかわっていた頃の経験だとか、なぜそこを辞めて在宅ケアの事務所を開こうとしたのか、その思いなどについてお話をお聞きしましたが、ここで実際に事務所を始めたのはいつ頃なんですか。

 

 そうだね、平成11年の8月だったね。ここの裏に住んでいる私の兄貴が、「お前も金もないから事務所借りてやったら大変だろう、空いているから使っていいよ」って言ってくれたんでそれに甘えてね。だけどさ、兄貴がここの電気屋を閉めてから随分経っていて放置状態だったから、すごい有様でね。

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執筆者プロフィール
六車由実(むぐるまゆみ) 1970年静岡県生まれ。民俗研究者。デイサービス「すまいるほーむ」管理者・生活相談員。社会福祉士。介護福祉士。2008年に東北芸術工科大学准教授を退職し、静岡県東部地区の特別養護老人ホームの介護職員に転職。2012年10月から現職。「介護民俗学」を提唱し実践する。著書に『神、人を喰う』(第25回サントリー学芸賞受賞)、『驚きの介護民俗学』(第20回旅の文化奨励賞受賞、第2回日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞)。
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