「リバタリアン」は右なのか左なのか

執筆者:会田弘継 2006年7月号
エリア: 北米

「フリー・ステイト・プロジェクト(自由州計画)」という運動がニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストといった主要新聞に大きく取り上げられているのを見て、びっくりした。二年半ほど前のことだ。 南北戦争前に奴隷制を敷いていた南部の諸州に対し、奴隷制を認めていなかった北部などの州をフリー・ステイトと呼んだ。いまでもそんな区別が残っているのかと思ったら、違う話だった。 リバタリアン(自由至上主義者)を自任する人たちが「今日のアメリカはあまりにも政府の力が強すぎる」といって、州や自治体の力が小さい北東部のニューハンプシャー州へ移住計画を進めているというのだ。ちょうど、南北戦争前に、奴隷たちが解放を求めフリー・ステイトに脱出したように……。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
会田弘継(あいだひろつぐ) 関西大学客員教授、ジャーナリスト。1951年生まれ。東京外語大英米語科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを務め、現在は共同通信客員論税委員、関西大学客員教授。近著に『世界の知性が語る「特別な日本』』 (新潮新書)『破綻するアメリカ』(岩波現代全書)、『トランプ現象とアメリカ保守思想』(左右社)、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)など。訳書にフランシス・フクヤマ著『政治の衰退』(講談社)など。
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