クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?

共産党が儲かるワケ

執筆者:徳岡孝夫 2014年8月8日
エリア: アジア

 日本円にして約1兆5000億円の蓄財を没収されたそうである。

 中国共産党の元最高指導者の1人で、政治局常務委員だった人だから、周永康氏(71)は、いわば中国共産党株式会社の元常務取締役である。その人が失脚し、財産は没収されたという。政治的な抗争はどの国にもあることで、私はとくに驚かなかったが、共産党が儲かるのにはびっくりした。

 日本で選挙があるたび日本共産党の宣伝カーが回ってきて「一部富裕層の利益ばかり図る自民党」を攻撃する。ところが海を渡って中国に行けば、一部富裕層とは共産党幹部のことなのだ。何という語義上の混乱。何という皮肉だろう。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
徳岡孝夫(とくおかたかお) 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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