饗宴外交の舞台裏 (106)

国際会議成功の裏にあったフィンランドの“二皿外交”

執筆者:西川恵 2006年11月号
エリア: ヨーロッパ

 アジア欧州会議(ASEM)の第六回首脳会議が九月十、十一の両日、フィンランドの首都ヘルシンキで開かれた。 アジアと欧州の計三十八カ国と一機関が加盟するASEMだが、首脳、閣僚、それに随行員を含めた参加者総数はざっと千五百人。人口五百万人のフィンランドにとって、これだけの規模の会議を主催するのは初めてのことだった。今年下半期の欧州連合(EU)議長国でもある同国にとって、国際社会で存在感を示す機会であり、政府一丸となって各国の接待に努めた。 最後の外遊となった小泉純一郎首相はヘルシンキ入りした八日、バンハネン首相の案内で、フィンランドの作曲家ジャン・シベリウス(一八六五―一九五七年)が後半生を過ごした首都郊外の家を訪ねた。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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