饗宴外交の舞台裏 (198)

オランダ新国王も引き継いだ「日蘭」恩讐を越える道

執筆者:西川恵 2014年11月17日
エリア: ヨーロッパ アジア

 オランダのウィレム・アレキサンダー国王とマキシマ王妃が10月28日から31日まで国賓として初来日した。昨年4月に即位した国王は皇太子時代、10回を超える訪日歴がある知日派で、欧州以外では国王となって初の外遊となる。これに応え、日本側は異例の厚遇で迎えた。

 滞在中、国王と王妃のために3つの饗宴がもたれた。まず29日の宮中晩餐会、次が翌30日の御所での天皇、皇后両陛下による私的な昼食会。最後が迎賓館での安倍晋三首相主催晩餐会だ。両陛下が公式な晩餐会と私的な食事会を2回持つのは異例で、オランダ王室との関係抜きにはあり得ない。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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