国際人のための日本古代史 (60)

「テロル」は「革命」に化ける

執筆者:関裕二 2015年3月10日
タグ: フランス 日本
エリア: アジア

 テロル(テロ)とは、暴力的手段を駆使して政敵を威嚇し恐怖を植え付けることだ。いわゆるテロリストの犯罪だけではなく、政権側の行使する暴力的手段をも、テロルという。

 また、反社会的組織や反為政者がテロルを成功させ政権を転覆させれば、テロルは「革命」の美名にすり替わる。フランス革命(1789)も明治維新(1868)も、テロルによって成し遂げられた。

 ちなみに、フランス革命とその後の混乱によって多数の人々が死に、その反省から保守主義が生まれている。

 

中大兄皇子の「評判」

 古代史も、あまたのテロルで彩られている。そのなかでも、天皇家中興の革命的事件と信じられてきた乙巳(いつし)の変(=大化の改新、645)は代表的なテロルであり、乙巳の変の主役の中大兄皇子の即位も、テロルの集大成と言い直すことが可能だ。良い意味で言っているのではない。テロルが革命に化けた典型例だと言いたいのだ。

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カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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