饗宴外交の舞台裏 (117)

皇太子のモンゴル訪問に水をさした日本相撲協会

執筆者:西川恵 2007年10月号
タグ: 日本 フランス
エリア: アジア

 横綱・朝青龍関が八月末、精神的ストレスによる「解離性障害」の治療のためモンゴルに帰国したことで、日・モンゴルの外交関係者はひとまず胸をなで下ろしたのではないだろうか。 横綱が腰骨の疲労骨折で夏巡業を休場しながら、帰国中にサッカーをしていたことが明るみに出て以降、事態はスポーツの枠を超えて広がった。日本相撲協会が下した二場所出場停止と謹慎処分に、モンゴル各紙では「処分が重すぎる」と同情論が大勢を占め、首都ウランバートルの日本大使館前では市民団体が「朝青龍は軟禁されている」「人権侵害を許すな」と抗議行動を行なった。親日感情が強いこの国では異例のことだった。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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