テロリストの誕生(6)解明すべき「女たちの役割」

国末憲人
執筆者:国末憲人 2015年5月15日
エリア: ヨーロッパ 中東

 アメディ・クリバリの妻アヤト・ブメディエンヌは、謎の多い女性である。フランスのメディアに、彼女の出自を巡る記事は少ない。彼女はフランス生まれのフランス人だが、「ブメディエンヌ」はアルジェリアに見られる姓で、北アフリカから来た移民家庭の出身だと考えられる。アヤト(アラビア語ではハヤト)という名も、イスラム教徒に多いもので、移民系以外のフランス人にはあまり見られない。

 連続テロ事件後に世界に出回った彼女の顔写真は、暗く、愛想のなさそうな表情をしている。地味な印象は拭えない。しかし、笑ったときの写真を見ると、愛嬌があってなかなかの美人である。週刊誌『パリマッチ』は、彼女とクリバリとが一緒に写った2010年初めの写真を掲載したが、民族衣装をまとったふくよかな彼女は、上品な笑顔を見せている。

 

原理主義の影はない結婚

 ブメディエンヌが2010年、捜査当局に対して述べた証言を、複数のフランスのメディアが伝えている。これらの情報によると、中華街があることで知られるパリ13区に生まれ、パリ東郊のヴィリエ=シュール=マルヌに移った。6歳で母が死亡した後、父のもとで育てられた。父モハメドを幼少の頃から慕っていたという。しかし、彼女が12歳の時に父は再婚。義母となった女性との関係は微妙で、恐らくそれを理由に彼女は家を出て、寄宿舎などでの暮らしを始めたようだ。

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執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
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