饗宴外交の舞台裏 (205)

「和洋折衷メニュー」でさらに深化した対中「日比連携」

執筆者:西川恵 2015年6月17日
エリア: アジア
大統領はシャンパングラスに口をつけただけだった(C)時事

 

 フィリピンのアキノ大統領が6月2日から5日まで国賓で来日した。安倍晋三首相が主要国首脳会議(G7サミット、7、8の両日)に出席する直前のタイミングで大統領を招いたのには政治的計算があった。南沙諸島での中国の人工島建設で、主権を侵されているフィリピン側の実情を大統領の話としてG7首脳に披露し、中国を強く牽制する方向でG7サミットをまとめようとの狙いだった。

 安倍第2次政権が誕生して約2年半の間に、安倍首相とアキノ大統領は5回会談している。緊密な関係の背景には、海洋進出で威圧的姿勢を強める中国に対する日比連携がある。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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