饗宴外交の舞台裏
饗宴外交の舞台裏(205)

「和洋折衷メニュー」でさらに深化した対中「日比連携」

西川恵
大統領はシャンパングラスに口をつけただけだった(C)時事

 

 フィリピンのアキノ大統領が6月2日から5日まで国賓で来日した。安倍晋三首相が主要国首脳会議(G7サミット、7、8の両日)に出席する直前のタイミングで大統領を招いたのには政治的計算があった。南沙諸島での中国の人工島建設で、主権を侵されているフィリピン側の実情を大統領の話としてG7首脳に披露し、中国を強く牽制する方向でG7サミットをまとめようとの狙いだった。

 安倍第2次政権が誕生して約2年半の間に、安倍首相とアキノ大統領は5回会談している。緊密な関係の背景には、海洋進出で威圧的姿勢を強める中国に対する日比連携がある。

 日本にとって親日的で地理的に近いフィリピンが中国に対して強い姿勢を保持し続けることは、中国の力を分散させ、対中連携の網を広げる上で極めて重要だ。フィリピンにとっても日本は経済支援の拠り所で、安全保障関連法案が成立すれば安全保障面でもより積極的な役割を日本が果たしてくれるとの期待がある。この双方の思惑の一致が国賓訪問となったが、日本側は丁重にもてなした。

 

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執筆者プロフィール
西川恵
西川恵 毎日新聞客員編集委員。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、論説委員を経て、今年3月まで専門編集委員。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、本誌連載から生れた『ワインと外交』(新潮新書)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。本誌連載に加筆した最新刊『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)が発売中。
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