米大統領選「共和党先頭集団」の「光と影」(下)

足立正彦
執筆者:足立正彦 2015年6月25日
エリア: 北米

 筆者がニューヨークとワシントンに滞在し、2016年米大統領選挙展望について専門家や元政府関係者らとの意見交換を重ねた結果、共和党の候補指名獲得争いの候補者のうちジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事、スコット・ウォーカー・ウィスコンシン州知事、マルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州選出)の3人が「先頭集団」と目されていることが確認できた。前回は彼ら3人の「光」の部分に焦点を当てたが、本稿では「影」の部分に焦点を当てていきたい。

 

有権者の「ブッシュ疲れ」の懸念

 ブッシュ氏は父も兄も大統領を経験した、共和党のまさに「エスタブリッシュメント候補」である。だが、共和党支持者の間から、一族3人目となる大統領を就任させることへの疑念が今後生じないとも限らない。その点を意識してか、6月15日の地元フロリダ州における正式出馬表明イベントの会場には父、兄の姿はなく、プラカードも「ブッシュ」ではなく「ジェブ」で満ちており、ブッシュ陣営の中にもブッシュ氏の独自色を前面に出そうとする姿勢が鮮明であった。とりわけ、兄のジョージ・W.ブッシュ政権下での対イラク武力行使とその後の中東地域の混乱、また、リーマンショックに象徴される同政権の経済失政は有権者の間で依然として否定的に受け止められており、今後のブッシュ氏の選挙キャンペーンに影を落としかねない。従って、2016年大統領選挙がヒラリー・クリントン前国務長官との対決となった場合、米国の一般有権者の多くが経済繁栄をもたらしたビル・クリントン政権をジョージ・W.ブッシュ政権よりも好意的に見ているため、兄の政権のイメージがブッシュ氏に不利に働く可能性を指摘しておく必要がある。候補指名獲得争いの段階で有権者の間に「ブッシュ疲れ(Bush fatigue)」が表面化するか否か注目しておく必要があるだろう。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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