安倍前政権が創設を目指していた国家安全保障会議(NSC)が昨年末に白紙に戻った。わが国のインテリジェンス(情報収集・分析)機能強化への歩みは、遅々として進まない。日本版NSC構想をめぐっては賛否両論があったが、筆者は、国家戦略立案のもととなる「情報収集」の強化、および、外交・警察・防衛に携わる省庁が縦割りを廃して「情報分析」の効率化を行なうことが喫緊の課題だと考える。 日本同様に対外諜報組織を有さず、米国に情報面で大きく依存しつつも、インテリジェンス改革を進めてきた国がある。カナダだ。「情報機関」と聞けばカナダ国民には忌まわしい記憶が甦る。同国では「治安維持」の名の下に、法執行機関たる警察が自ら法を犯していた。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン