「プーチン年末訪日」にこれだけの障害

名越健郎
執筆者:名越健郎 2015年7月31日
エリア: ロシア

 ロシアの対日政策では、プーチン大統領が、ハリウッド映画に登場する「グッド・コップ」(良い警官)、メドベージェフ首相が「バッド・コップ」(悪い警官)を演じているかにみえる。「親日派」の大統領が6月、通信社代表との会見で、日本を「戦略パートナー」と呼び、「すべての問題は解決可能だ。そのためにも首脳会談が必要だ」と北方領土問題に前向きな姿勢を示せば、「反日派」の首相は7月の閣議で、近く3回目の北方領土視察を行うと発言し、日本側をいらだたせた。これが対米関係になると、プーチン大統領が「悪い警官」、メドベージェフ首相が「良い警官」の役回りとなり、対日、対米関係でねじれがみられる。「バッド・コップ」の暗躍は、「グッド・コップ」の年末の訪日の阻害要因となろう。

「嵐を呼ぶ男」

 メドベージェフ首相は7月23日の閣議で、近く北方領土を訪れると述べたが、ロシア紙によれば、択捉島で8月12-24日にロシア全土から愛国的学生約300人が集まる「全ロシア青年教育フォーラム」に参加する見通し。同首相は2010年、12年の2度、国後島を訪れており、前回の訪問で3度目の視察を約束していた。日本政府は「日本の国民感情を傷つけるもので、受け入れられない」(菅官房長官)と反発したが、ロシア外務省筋はタス通信に対し、「日本の立場を考慮する必要はない。公人による訪問はこれからも続く」と強調した。

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執筆者プロフィール
名越健郎
名越健郎 1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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