テロリストの誕生(17)標的は「ユダヤ人学校」だったのか?

国末憲人
執筆者:国末憲人 2015年8月24日
エリア: ヨーロッパ 中東

『シャルリー・エブド』編集部を襲撃したクアシ兄弟が行方をくらませたまま、1月7日は暮れた。翌8日から兄弟と連携して動き出したのが、アメディ・クリバリだった。

 クリバリが引き起こした一連の事件には、前座のような出来事がある。7日夜8時半頃、パリ南郊フォントネ=オー=ローズで男性が銃で撃たれ重傷を負った一件である。『シャルリー』事件が起きてフランス中が騒然としていた時だけにほとんど注目されなかったが、後にクリバリが起こした可能性が指摘された。

 この男性は32歳で、住宅街の緑道で日課のジョギングをしていた際に出くわした男から、肩と背中、脚の3カ所を拳銃でいきなり撃たれた。男性は何とか近くの住宅にたどり着いて助けを求めた。男性は当初意識があり、容疑者について「欧州系か北アフリカ系だった」と語った後、昏睡状態に陥った。

 クリバリの自宅は現場から数百メートルしか離れていない。ただ、捜査は当初、男性の証言から対象を白人に絞った。黒人のクリバリは対象外と見なされた。『パリジャン』紙は状況と容疑者の風貌から、クアシ兄弟とクリバリに続く「第4の男」(クリバリの妻アヤト・ブメディエンヌと一緒に「イスラム国」に逃亡したアルジェリア系のベルシヌ兄弟らのことか)がこの出来事にかかわった可能性を示唆した。クリバリ周辺の他の人物によるものだと推測したメディアもある。

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執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
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