「爆破テロ」に揺れるタイ・バンコク「現地レポート」

樋泉克夫
執筆者:樋泉克夫 2015年9月1日

 エラワン廟爆破事件から10日が過ぎた8月27日、バンコクのスワンナプーム空港に降り立った。さぞや厳重警戒態勢と思いきや、警備は普段と変わらず。パスポート検査官も極く普通に不愛想。荷物検査は成田や羽田に較べれば、なにもしてないと同じ。これまたいつもの風景だ。

 ところが空港を離れ都心に向かう高速道路で、例年とはやや違った風景にでくわした。

 8月はシリキット王妃の誕生日を祝う月でもあり、バンコクでも各所に大きな祝賀看板などが見られ、街は華やぐ。空港から都心への高速道路沿いにも若き日の王妃の肖像に「聖寿万歳」の文字が記された5メートル×10メートルほどの巨大看板が何本も見られるのだが、今年は、空港から出て最初のそれは王妃の隣に幼少時の皇太子が、暫く走って目に入る2枚目には王妃の隣に軍服姿も凛々しい壮年の皇太子が描かれているのだ。空港からこの間、もちろん一般企業の巨大看板は見当たらない。

 

おざなりのセキュリティー・チェック

 ホテルに荷物を置いて街を歩くが、いつもの通りの風景だ。もちろんエラワン廟は行っても無駄足だろうと避け、次の標的との噂がまことしやかに流れる中心部の大型ショッピングモールに向かおうとBTS(スカイ・トレイン)駅に。さすがに改札の隣にセキュリティー・チェックの椅子が置かれ人員が配置されているが、それも1人。なにをするでもなく手持無沙汰風に突っ立っているだけ。いくつかの駅を通り過ぎたが、たった1カ所のホームで警察犬を引いた警察官を見かけた程度だった。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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