「イラン核合意」の行方(下)消えない「反対派」の疑念

鈴木一人
執筆者:鈴木一人 2015年9月3日

 しかし、今回の核合意がきちんと履行されたとしても、様々な不安や問題点は残る。その1つはネタニヤフ首相による猛烈な反対である。
 イスラエルは公式には認めていないが中東における唯一の核保有国であり、イランが核武装することは中東の軍事バランスを変更することになるとみているため、僅かでもイランが核兵器開発をする可能性が残ることに反対している。実際イスラエルは、1981年にイラクのオシラク原発が稼働する前にイスラエル空軍機によって爆撃し、サダム・フセインによる核開発の可能性を封じたという成功体験もある。そのため、イスラエルがイランに対して突如空爆を仕掛けるという可能性も完全には排除できない。過去に3度イラン攻撃を検討したことがあると、イスラエルのバラク元国防大臣が発言し、今回もイラン攻撃はしないとの見方もあるが、アメリカは核合意がまとまった直後にカーター国防長官らをイスラエルに派遣し、緊密に連携することでイスラエルの暴走を食い止めようと必死である。

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執筆者プロフィール
鈴木一人 すずき・かずと 北海道大学大学院法学研究科教授。1970年生まれ。1995年立命館大学修士課程修了、2000年英国サセックス大学院博士課程修了。筑波大学助教授を経て、2008年より現職。2013年12月から2015年7月まで国連安保理イラン制裁専門家パネルメンバーとして勤務。著書にPolicy Logics and Institutions of European Space Collaboration (Ashgate)、『宇宙開発と国際政治』(岩波書店、2012年サントリー学芸賞)、『EUの規制力』(日本経済評論社、共編)、『技術・環境・エネルギーの連動リスク』(岩波書店、編者)などがある。
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