テロリストの誕生(22・最終回)テロリストの末路、そしてやり直すべき議論へ

国末憲人
大行進のあともテロは続いている……(C)AFP=時事

 

『シャルリー・エブド』襲撃事件から立てこもりに至るテロが一段落した1月11日、言論の自由擁護を訴える数百万人規模のデモがフランスで催された。パリの行進には、各国の首脳を含む100万人あまりが参加した。大統領のオランドは「テロとの戦争」を宣言し、中東に空母も派遣するなど強い対決姿勢を示した。2001年の米同時多発テロからイラク戦争に突き進んだ米ブッシュ政権の二の舞いかと心配されたが、現在のところオランド政権はそこまで愚かではないようだ。国内での警戒態勢を最高レベルに高めつつ、比較的常識的な外交姿勢を保っている。

 欧州ではこの後、クアシ兄弟やクリバリを真似たと見られるテロや未遂が相次いだ。2月3日には、南仏ニースのユダヤ教関連施設で、警備に当たっていた兵士に男が刃物で切りつけ、けがを負わせる事件が起きた。2月14日から15日にかけては、コペンハーゲンで「イスラム教と表現の自由」をテーマに開催された集会が銃撃され、近くのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)でも発砲があり、計2人が死亡する事件が起きた。容疑者の男は射殺された。6月には、フランスでイスラム過激派の男が運送会社の社長を殺害し、リヨン郊外のガス工場を襲撃する事件も起きた。ユダヤ教徒向けスーパー「イペール・カシェール」立てこもり事件を起こしたアメディ・クリバリの妻アヤト・ブメディエンヌらの呼びかけが功を奏しているのだろうか。

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執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
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