ベイナー下院議長「辞任」で進む米共和党の保守化

足立正彦
執筆者:足立正彦 2015年9月29日
エリア: 北米

 5年前に行われた2010年中間選挙では、オバマ政権による積極的な財政出動策に猛反発した保守派有権者の草の根運動であるティーパーティー(茶会党)運動が全米各地に広がる中、共和党が歴史的勝利を収めた。その結果、翌2011年1月に召集された第112議会において、共和党は下院で4年ぶりに多数党に復帰することになった。同時に下院議長も、4年間同ポストにあった米国史上初の女性下院議長であったナンシー・ペロシ下院議員(民主党、カリフォルニア州第12区選出)から、共和党下院院内総務であったジョン・ベイナー下院議員(オハイオ州第8選挙区選出)に交代していた。

 そのベイナー氏が下院議長に就任してから既に4年8カ月が経過し、今後の去就について、2016年大統領選挙と同時に行われる連邦下院議員選挙の結果を受けて判断するものと見られていた。

 ところがそうした見方は覆され、ベイナー氏は、10月30日をもって下院議長のみならず24年間在職してきた下院議員も辞職して政界から身を引く意向を9月25日に突然表明、その衝撃が与野党関係者に広がっている。

 ベイナー氏の政界引退の記者会見が行われた前日の24日には、ローマ法王フランシスコがローマ法王として初めて米議会上下両院合同本会議で演説を行っている。上院議長を兼務するジョー・バイデン副大統領とともにローマ法王の右後ろにはベイナー下院議長がハンカチで涙を拭う姿があったが、今思うと、それはローマ法王を迎えた感激だけではなく、翌日に明らかにする自らの去就に関する感慨も胸に迫っていたものと考えられる。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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