不況期に入った「アフリカ経済」にとっての「インフラ」の重要性

執筆者:平野克己 2015年9月30日
タグ: 中国

 アフリカ経済の傷みが徐々に数字になって表れてきた。ナイジェリア統計局が8月に発表した今年第2四半期の経済成長率は、年率換算で2.35%だった。南アフリカ統計局は8月に、第2四半期の経済成長率をマイナス1.3%と発表したが、この、予想を超える減速ぶりは驚きであった。さらに、IMF(国際通貨基金)のアンゴラ調査団が8月に出した同国の経済成長率の予測値は3.5%だった。

 いたずらに楽観的な「rising Africa narrative(アフリカ上昇物語)」は、すっかり影を潜めている。資源価格の回復は少なくともあと2年は望めないという意見が大勢となり、中国経済の減速も明瞭になったいま、アフリカ成長神話を繰り返しても投資家に響かないのだろう。よいことである。国際情勢をみるにあたって幻影は禁物だ。

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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執筆者プロフィール
平野克己(ひらのかつみ) 1956年生れ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済研究科修了。スーダンで地域研究を開始し、外務省専門調査員(在ジンバブエ大使館)、笹川平和財団プログラムオフィサーを経てアジア経済研究所に入所。在ヨハネスブルク海外調査員(ウィットウォータースランド大学客員研究員)、JETRO(日本貿易振興機構)ヨハネスブルクセンター所長、地域研究センター長などを経て、2015年から理事。『経済大陸アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』 (中公新書)のほか、『アフリカ問題――開発と援助の世界史』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)など著書多数。2011年、同志社大学より博士号(グローバル社会研究)。
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