北朝鮮「党創建70周年」(中)「中朝」関係修復への第1歩

平井久志
執筆者:平井久志 2015年10月19日

 中国共産党の劉雲山党政治局常務委員が朝鮮労働党創建70周年の記念行事出席のために10月9日から12日まで3泊4日の日程で北朝鮮を訪問した。中国要人が3泊4日という余裕のある日程で訪朝することは最近では異例だった。

序列5位・劉雲山常務委員の訪朝

 劉雲山氏は中国共産党で7人いる党政治局常務委員の1人で、政治序列は5位。金正恩(キム・ジョンウン)政権が発足して以来、最高位の中国要人の訪朝となった。これまでの最高位は、朝鮮戦争の休戦協定締結60周年の2013年7月に訪朝した李源潮国家副主席だった。李源潮氏は党政治局員であり、劉雲山氏の訪朝はこれより1ランク上の要人の訪朝となった。朝鮮労働党創建65周年の2010年10月には周永康党政治局常務委員(当時)が訪朝しており、この時のレベルに戻った形だ。
 中国の習近平執行部はなぜ劉雲山常務委員を平壌へ送り込んだのだろうか。
 中国は昨年12月の金正日(キム・ジョンイル)総書記の死亡3周年以降、積極的に関係修復の呼び掛けを続けていたが、北朝鮮側がこれに応じず、冷淡な対応を続けてきた。中国側の関係修復のメッセージを最初に発したのが劉雲山政治局常務委員だった。劉雲山氏は、金正日総書記の命日の昨年12月17日に北京の北朝鮮大使館を訪問し、金正日総書記の死亡3周年の記念行事に参加し「習近平同志が総書記を担う中国共産党中央委員会は中朝の伝統友誼を高度に重視する」とし「中国は朝鮮とともに、長期的で大局的な見地から、中朝の伝統友誼を維持・保護し、確固として発展させていくことを希望する」と述べた。
 劉雲山氏は冷却化した中朝関係を修復するきっかけをつくった人物である。中国共産党は党政治局常務委員会で劉雲山氏を北朝鮮担当にしたのかもしれない。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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