10月1日付けで日本貿易振興機構(ジェトロ)の理事を拝命し、古巣であるアジア経済研究所の経営と、ジェトロ全体においては中東・アフリカ・中央アジア地域、国内では中部地方を担当することになった。若い時分に大使館勤務や財団勤務、10年程前にはジェトロ・ヨハネスブルグ事務所長を経験してはいるが、それにしてもエライことになった。

 

試合場のアスリートのような気分

 ジェトロの理事長(Chairman)は経産省出身の石毛博行氏、副理事長(President)は経産省から出向の赤星康氏、その下に私を含め6名の理事(vice-President)がいる。外務省と農水省からそれぞれ1名、本部出身が2名、アジ研から2名で、アジ研からはインドネシア研究で有名な佐藤百合氏が私と同時に就任した。

 日常的に赤坂のジェトロ本部と幕張の研究所を行ったり来たりし、30分から1時間の単位で別々のチームや来客と向き合いつつ、細切れの仕事を順にこなしていく。スケジュールは秘書室がつくるので、なにが待っているか出勤するまではっきりしない。1本の原稿と朝から晩まで取っ組みあうこともあった研究者時代とは真逆だ。私のなかになにも蓄積しない、反射神経が頼りの、行き当たりばったりである。見返す時間がないので書類を手元に貯めておくこともない。半分くらいに整理して理事室に運び込んだ蔵書も、まだ手にとったことがない。

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執筆者プロフィール
平野克己
平野克己 1956年生れ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済研究科修了。スーダンで地域研究を開始し、外務省専門調査員(在ジンバブエ大使館)、笹川平和財団プログラムオフィサーを経てアジア経済研究所に入所。在ヨハネスブルク海外調査員(ウィットウォータースランド大学客員研究員)、JETRO(日本貿易振興機構)ヨハネスブルクセンター所長、地域研究センター長などを経て、2015年から理事。『経済大陸アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』 (中公新書)のほか、『アフリカ問題――開発と援助の世界史』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)など著書多数。2011年、同志社大学より博士号(グローバル社会研究)。
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