饗宴外交の舞台裏
饗宴外交の舞台裏(211)

「米仏夕食会」を敢えて「華美」に演出したオランド仏大統領

西川恵
執筆者:西川恵 2015年12月11日

 国連気候変動枠組み条約の第21回締約国会議(COP21)がフランス・パリ近郊のルブルジェで開幕(11月30日)したその夜、オランド大統領はオバマ米大統領をパリ市内の3つ星レストランに招いた。両首脳のパリ市内のレストランでの食事会は昨年6月に続き2回目だが、興味深いのはレストランの選択である。

 オバマ大統領は昨年6月、ノルマンディー上陸作戦70周年記念式典に出席のために訪仏。式典前日の夜、パリの凱旋門に近い1つ星レストラン「シベルタ」でオランド大統領のもてなしを受けた。

 なぜ「シベルタ」になったのか。それはまずもってエリゼ宮に近いことが優先されたからだった。この夜、オランド大統領はオバマ大統領と食事をした後、エリゼ宮にとって返し、やはり記念式典出席のため訪仏していたプーチン露大統領との夕食会に臨まなければならなかった。

 当時、ロシアはウクライナのクリミア半島を併合し、米露は犬猿の仲。本来は米仏露の3首脳が1つのテーブルを囲めばすむところを、米国がプーチン大統領との同席を拒否。ホストのオランド大統領は夕食を2度とらざるを得ないハメになった(この模様は昨年6月16日の本連載第193回「『一夜で2回の夕食』オランド仏大統領の苦肉の策」で取り上げた)。

執筆者プロフィール
西川恵
西川恵 毎日新聞客員編集委員。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、論説委員を経て、今年3月まで専門編集委員。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、本誌連載から生れた『ワインと外交』(新潮新書)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。本誌連載に加筆した最新刊『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)が発売中。
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