日韓合意:韓国に「足抜け」された中国の苛立ち

村上政俊
執筆者:村上政俊 2016年1月6日

 いわゆる「慰安婦問題」をめぐる日韓合意の本質は、米国東アジア戦略の「ミッシングリンク」の回復である。日韓2国間関係の文脈だけでこの問題を考察しても、全体像はまるで見えない。オランダ・ハーグで日米韓首脳会談(2014年3月)を主催するなど、日韓関係修復を強力に後押ししてきた米国が、今次「慰安婦問題」合意の陰の主役であることは論を俟たないだろう。
 アジア最大の同盟国日本と北朝鮮抑止の要である韓国がいがみ合っている状況は、中国北朝鮮を利するだけである。そこで障害となっていた歴史認識問題、とりわけいわゆる慰安婦問題について両国が折り合える点を見つけ出して、南シナ海問題で緊迫する東アジア情勢を安定させたいという米国の思惑が働いた。合意直後にケリー国務長官とライス大統領補佐官が合意を歓迎する声明を出したところに、米国の安堵の色が滲み出ている。オバマ大統領は、日米韓首脳会談の今春再主催を検討し、日韓関係修復の基調を「不可逆的」なものにしたい考えだ。

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執筆者プロフィール
村上政俊 1983年7月7日、大阪市生まれ。現在、同志社大学嘱託講師、同大学南シナ海研究センター嘱託研究員、皇學館大学非常勤講師、桜美林大学客員研究員を務める。東京大学法学部政治コース卒業。2008年4月外務省入省。第三国際情報官室、在中国大使館外交官補(北京大学国際関係学院留学)、在英国大使館外交官補(ロンドン大学LSE留学)勤務で、中国情勢分析や日中韓首脳会議に携わる。12年12月~14年11月衆議院議員。中央大学大学院客員教授を経て現職。著書に『最後は孤立して自壊する中国 2017年習近平の中国 』(石平氏との共著、ワック)。
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