深層レポート 日本の政治 (189)

「安倍首相」が恐れる自民党内の「潜在的不満」

2016年1月21日
エリア: アジア

 政界では、7月の参院選とあわせて衆院選が実施される可能性、つまり、衆参同日選挙の噂が絶えない。そんな中、昨年12月25日に民主党本部で開かれた党の仕事納めの会での枝野幸男幹事長の発言は、驚きをもって受け止められた。衆参同日選挙ではなく、4月衆院選説を示唆したからだ。

「参院選前」の衆院選?

「来年(2016年)の参議院選挙、あるいはその前後にあるかもしれないし、一緒にあるかもしれない総選挙を乗り越えることができれば、いよいよ右肩上がりでいろいろなものを進めていけるという状況になっていけるのではないかというふうに思っている。来年の前半は本当に重要な時期だと思う」
 仕事納めのなごやかな雰囲気もあって、枝野氏のこの発言をそれほど気に留めなかった出席者も多かった。発言のうち、「一緒にあるかもしれない」という部分は衆参同日選のことである。注目すべきは、「(参院選)前後にあるかもしれない」という部分だ。これは今年7月の参院選とは時期をずらして衆院選が実施されることを意味している。
 衆参同日選の可能性は以前から指摘されていたが、参院選と同日ではない今年中の衆院選実施について言及していた議員は、これまでほとんどいなかった。
 しかも、枝野氏はこの発言と前後して、周囲に次のように漏らしている。
「夏の参院選の前と後…。どっちだと思う。いつやる? やるなら前でしょ」
 参院選よりも前の衆院選。例年3月までは通常国会での来年度予算案の審議などで、政府も各党も手一杯であり、その途中で衆院が解散されるとは考え難い。このため、今年4月に解散、4~5月に投票というのが、枝野氏の発言から導き出される1番早い衆院選の可能性である。

カテゴリ: 政治
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