北朝鮮「ミサイル」発射:中国は重い腰を上げるか?

執筆者:鈴木一人 2016年2月8日
エリア: アジア

 1月6日の「水爆実験」と称する核実験に対する国連安保理による追加制裁が定まっていない中、2月7日に北朝鮮は衛星を搭載した新たなロケットの打ち上げを実行した。2006年から連綿と続く安保理の北朝鮮制裁決議では「弾道ミサイル技術を用いた活動」は全てミサイル活動に含まれており、今回の「衛星の打ち上げ」も弾道ミサイル技術を用いているため、明らかな安保理決議違反である。
 国際社会――とりわけ米中の間――で、北朝鮮への追加制裁に合意できない状況が続く中、北朝鮮の暴挙は留まるところを知らない。かつての金正日体制であれば、少なくとも中長期的には、核開発やロケットの打ち上げを「手段」として、米国との直接協議や六者会合での交渉を優位に進めるという「目標」があるように見えた。しかし、現在の金正恩体制では、そうした方向性が見えてこない。それだけに国際社会は北朝鮮とどのように向き合ってよいのかが分からなくなっている状態にある。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
鈴木一人(すずきかずと) すずき・かずと 東京大学公共政策大学院教授 国際文化会館「地経学研究所(IOG)」所長。1970年生まれ。1995年立命館大学修士課程修了、2000年英国サセックス大学院博士課程修了。筑波大学助教授、北海道大学公共政策大学院教授を経て、2020年より現職。2013年12月から2015年7月まで国連安保理イラン制裁専門家パネルメンバーとして勤務。著書にPolicy Logics and Institutions of European Space Collaboration (Ashgate)、『宇宙開発と国際政治』(岩波書店、2012年サントリー学芸賞)、編・共著に『米中の経済安全保障戦略』『バイデンのアメリカ』『ウクライナ戦争と世界のゆくえ』『ウクライナ戦争と米中対立』など多数。
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