インテリジェンス・ナウ
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サウジが「パキスタンの核弾頭」を手にする日:ミサイルは中国製の東風21

春名幹男
執筆者:春名幹男 2016年2月17日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障

 世界の株式・金融市場の急速な収縮をよそに、イランを取り巻く経済活動が過熱化している。イランとの「核合意」に伴う対イラン制裁解除で、凍結されていた推定総額約12兆円もの資金をイランが手にするため、商機が到来したというわけだ。
 しかしイランは将来の核武装化を完全に断念したわけではなく、核開発を先送りしたにすぎない。このため中東のアラブ諸国などがひそかに核開発を進め、米国などの情報機関が神経を尖らせている。中でも最も懸念すべき動きを見せているのが、イスラム教シーア派大国イランのライバルであるスンニ派大国サウジアラビアだ。

パキスタンから5~6発

「イスラム爆弾」が差し迫った危険として世界に注目され始めたのは1981年、イスラエルが予兆もなく突然、イラクのオシラク原子炉を爆撃して以後のことだ。その後、パキスタンの核開発が注目を集め、同時にパキスタンの核開発に対してサウジアラビアが資金援助したとの情報が流れた。さらに2002年8月、イラン反体制派が、イランは秘密のウラン濃縮施設建設をイラン中部ナタンズに建設したと暴露。2003年にはイラク戦争でフセイン政権が打倒され、イランの政治的立場が強まった。
 中東の核開発競争は、最初にイスラエルの核武装があり、次いでイラクなどアラブ諸国とイランの核開発、という形で拡大した。
 こうした動きを受けて2003年9月、英紙ガーディアンで、サウジの最高レベルで①抑止力として核能力を持つ②防衛してくれる既存の核大国と同盟を組む③中東を非核地帯とする地域協定を締結する――の3つの選択肢から成る戦略案が検討中、と報道された。この報道の正しさは、2008年にサウド王家からも数人が出席して開かれた英国際戦略研究所(IISS)での中東の核開発に関するシンポジウムで確認された。
 さらに、2010年の英王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)の研究会で複数の西側情報筋が「サウド王家はパキスタンの核開発計画の費用60%以下を負担、近隣諸国との関係が悪化した場合、5~6発の核弾頭をその見返りに得るとのオプションが付いている」との情報が明らかにされたという(ガーディアン紙)。 

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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