北朝鮮「ミサイル発射」の衝撃(上)安倍政権「対話」から「対決」へ

執筆者:平井久志 2016年2月19日
エリア: アジア

 北朝鮮は2月7日午前9時(日本時間同9時半)に同国北西部の平安北道鉄山郡東倉里の「西海衛星発射場」から、事実上の長距離弾道ミサイルである人工衛星を打ち上げた。北朝鮮の朝鮮国家宇宙開発局は打ち上げ3時間後の同日正午(日本時間午後零時半)に「地球観測衛星『光明星4号』を軌道に進入させることに完全に成功した」と発表した。
 同開発局は、「光明星4号」は発射9分46秒後に軌道に進入し、97.4度の軌道傾斜角で近地点高度494.6キロ、遠地点高度500キロの極軌道を回り、周期は94分24秒であるとした。米戦略軍司令部や韓国国防部も北朝鮮の打ち上げた物体が軌道に乗ったことを確認した。
 また、同開発局は光明星4号には地球観測に必要な測定機器と通信機器が搭載されているとしたが、米韓両国は、軌道に乗った物体から正常な発信がされていることをまだ確認していない。その意味では、2012年12月に打ち上げた「光明星3号」と同じように、軌道進入には成功したが、観測や通信という人工衛星の機能を発揮することには失敗した可能性が高い。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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