「予備自衛官」の拡充を――3.11災害に10万人出動の教訓

林吉永
執筆者:林吉永 2016年3月3日
エリア: 日本

 3.11東日本大震災発生から5年が経つ。改めて危機管理における人的戦力について考えたい。自然災害から戦争に至るまで、初動の成否は人的・物的戦力の投入量で決まる例が多く、古来、戦力の小出しは戒められてきた。
 陸・海・空自衛隊は3.11発災から2カ月間、10万人態勢で復興支援を行った(平成23年3月27日・東北地方太平洋沖地震自衛隊の活動状況の防衛省プレスリリース)。しかし、この数値が十分だったと言えるのか。また、どのような教訓が残されたのだろうか。

2交代制で実働5万人

 10万人の自衛隊員の実働が連続できれば、大きな力になる。しかし、頑強で士気旺盛な自衛隊員とは言え、特に初動において不眠不休を求められる被災現場で、給養・休息無しで頑張り続けることは至難だ。当然交代制で体力気力の回復を図りながら活動することになる。単純計算では、2交代制であれば動員10万人に対して現場の実働は半数の5万人である。8時間毎3交代では実働人数が約3.3万人に減少する。

 5年前の東日本大震災では、陸上自衛隊員の半数に当たる約7万人が最前線に出動した。実に雑駁な計算だが、2交代制をとっていれば現場での実働は3.5万人となる。人命を失ったばかりか壊滅的被害を被った太平洋岸市町村は40を超える。死者・行方不明の合計が100人以上となった岩手、宮城、福島各県の22市町村(消防庁・平成23年・東日本大震災・第132報)では、より多数の自衛隊員投入が求められたはずである。しかし、それぞれの自治体への陸上自衛隊の派遣は、単純に均等割りすると900人にも満たない。

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執筆者プロフィール
林吉永
林吉永 はやし・よしなが NPO国際地政学研究所理事、軍事史学者。1942年神奈川県生れ。65年防衛大卒、米国空軍大学留学、航空幕僚監部総務課長などを経て、航空自衛隊北部航空警戒管制団司令、第7航空団司令、幹部候補生学校長を歴任、退官後2007年まで防衛研究所戦史部長。日本戦略研究フォーラム常務理事を経て、2011年9月国際地政学研究所を発起設立。政府調査業務の執筆編集、シンポジウムの企画運営、海外研究所との協同セミナーの企画運営などを行っている。
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