小説・めぐみ園の夏

小説・めぐみ園の夏(4)

高杉良
執筆者:高杉良 2016年5月7日
エリア: 日本
(C)時事

 

【前号までのあらすじ】

初めてのボクシングで亮平は健闘し、引き分けに持ち込み、理事長の息子、浩も高井にダウンさせられる。そして亮平は、転校先のクラスのガキ大将らをボクシングに誘い、ノックアウト。逆に宿題を教えてやる約束を交わし、イジメをやめさせることに成功するのだった――。

 

第2章 母の情念(承前)

   7

 

 9月中旬日曜日の午後、杉田亮平たちの母、深谷百子(ふかやももこ)が来園した。

 母は若い男性を伴っており、前回と違って、やけに機嫌がよかった。

「秋葉(あきば)さんとおっしゃるの。お母ちゃんの仕事仲間。竹田(たけだ)のお屋敷の執事さんよ」

「執事ってどんな仕事をするの」

 亮平の質問に秋葉は笑顔で答えた。

「秘書とか書生なら分かるかな」

「書生とは違いますよ。秘書よりだって、もっともっと格上でしょう」

「ふうーん。この人、偉いんだね」

 亮平は母とどっちが偉いのか聞きたかったが、百枝(ももえ)が母に甘えだしたので、我慢した。

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執筆者プロフィール
高杉良
高杉良 1939(昭和14)年、東京生まれ。科学専門紙記者、編集長を経て1975年『虚構の城』で作家デビュー。以来、経済界全般にわたって材を得、綿密な取材によって徹底したリアリティにこだわった問題作、話題作を次々に発表している。主な作品に『小説 日本興業銀行』『労働貴族』『広報室沈黙す』『燃ゆるとき』『濁流』『金融腐蝕列島』『不撓不屈』『虚像』『第四権力』『小説ヤマト運輸』などがある。
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