追い詰められたインド酒造王:「経営者失格」か「失政の犠牲者」か

執筆者:緒方麻也 2016年5月2日

 インドの「酒造王」としてビジネス界に君臨し、豪華なサービスで知られたキングフィッシャー航空(KFA)のオーナーとして話題を振りまいた著名実業家ビジャイ・マリヤ氏(60)が、崖っぷちに追い込まれている。KFAが国営ステート・バンク・オブ・インディア(SBI)など17行から借り入れた約940億ルピー(約1560億円)が債務不履行に陥り、IDBI銀行からの90億ルピー(約150億円)の借入金をめぐってはマネーロンダリング疑惑まで浮上している。4月24日には、ついにインド外務省がマリヤ氏のパスポートを無効とする決定を行った。マリヤ氏本人は3月2日に「国外脱出」し、捜査当局や裁判所の出頭命令を無視してロンドン郊外に滞在しているが、インド政府が今後、強制送還や英当局への身柄引き渡し要請などに踏み切る可能性も出てきた。

 

「インドのリチャード・ブランソン」

 ユナイテッド・ブルワリーズ(UB)を中核とするUBグループは、バンガロールを本拠とするインド最大の酒造メーカー。マリヤ氏は1983年、父親の急死によって28歳の若さでこのUBグループ会長の座に就いた。その後、同グループはインド初のピザ・チェーンを展開、石油化学や情報技術(IT)、病院経営などに相次ぎ手を広げ、2005年には「私が自ら面接して採用した」という美人客室乗務員(CA)による豪華な機内サービスを売り物にしたキングフィッシャー航空の運航を開始。2007年には英スコッチ・ウイスキーメーカーのホワイト・アンド・マッカイの買収を成功させた。

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