小説・めぐみ園の夏

小説・めぐみ園の夏(6)

高杉良
執筆者:高杉良 2016年6月4日
エリア: 日本
GHQ占領下の当時、世の中は騒然としていたが……(C)時事

 

【前号までのあらすじ】

妹の百枝を知らぬ間に養女に出されたことで母を恨む亮平だったが、ある日、かつてのいじめっ子、池田の誕生会に誘われる。豪勢な食事を堪能し、しばし幸福感に浸る亮平。そして、土産にもらった落花生をめぐみ園でこっそり食するのだが――。

 

第3章 暴力少年(承前)

 

   2

 

 折笠雅子(おりがさまさこ)の厭な予感が的中し、翌日の月曜日にめぐみ園診療所の吉見紀夫(よしみのりお)医師と浅野正義(あさのまさよし)医師は「直ちに手術しましょう」と言い切った。吉見は外科医、浅野は内科医で、年齢は共に30代半ばだ。

 月曜日は通院の患者が多い。

「夜までもちませんか」という園長の質問に2人の医師は「まさか」と答えた。

「それでは診療所が終ってからにして下さい。定岡信夫にはもっともっと苦しんで貰いましょう。神が与え給うたバツですよ。費用のことを考えたら大変なことです」

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執筆者プロフィール
高杉良
高杉良 1939(昭和14)年、東京生まれ。科学専門紙記者、編集長を経て1975年『虚構の城』で作家デビュー。以来、経済界全般にわたって材を得、綿密な取材によって徹底したリアリティにこだわった問題作、話題作を次々に発表している。主な作品に『小説 日本興業銀行』『労働貴族』『広報室沈黙す』『燃ゆるとき』『濁流』『金融腐蝕列島』『不撓不屈』『虚像』『第四権力』『小説ヤマト運輸』などがある。
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