「ケイコ・フジモリ」はなぜ敗れたか:ペルー大統領選

 その差0.24ポイント(4万2000票)という、まさに国を二分する大激戦だった。6月5日投票が行われたペルー大統領選挙(決選投票)は、現地時間10日、ケイコ・フジモリ氏が敗北を認めたことで、約1週間にわたった開票劇の幕が降りた。
 前回5年前の決選投票と同様、またしても父親のアルベルト・フジモリ元大統領の影に翻弄され、親子2代の日系大統領、ペルー初の女性大統領の誕生が阻まれた。
 だが、この日系の女性政治家が、党首として2度の決選投票を接戦の内に戦い抜き、まさにペルーの政治史を塗り替える偉業を成し遂げた事実に変りはない。次政権においても、最大政党の党首という最も影響力のある政治家として、その挙動がペルーの命運を左右することになる。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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