小説・めぐみ園の夏

小説・めぐみ園の夏(7)

高杉良
執筆者:高杉良 2016年6月25日
エリア: 日本
GHQ占領下の当時、世の中は騒然としていたが……(C)時事

 

【前号までのあらすじ】

亮平から貰った落花生を食べた後、定岡信夫は盲腸炎を発症し、緊急手術をすることになった。園長は責任を亮平に押しつけ、浩はそれに乗じて体罰を宣言する。浩の陰険さを懸念した亮平は、自らボクシング大会での勝負を持ちかけ、浩のパンチにノックアウトされることで事を収めようと画策する。

 

第3章 暴力少年(承前)

 

   4

 

 11月中旬の朝未だき、外は薄暗く、肌寒かった。

 杉田亮平(すぎたりょうへい)は午前5時頃には目覚めてしまい、ベッドの中で30分ほど、もじもじごそごそしていた。昨夜、早くベッドに横たわり、消灯時間前に眠ってしまったせいもある。

 起床時間は6時なので頃合いと思い、寝間着から普段着に着替えた。2段ベッドのきしむ梯子を降りたが、誰にも気付かれなかった。

 気持ちが高ぶっているためか、いつもの順序を間違え、洗顔と嗽が先になり、排泄が後回しになった。

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執筆者プロフィール
高杉良
高杉良 1939(昭和14)年、東京生まれ。科学専門紙記者、編集長を経て1975年『虚構の城』で作家デビュー。以来、経済界全般にわたって材を得、綿密な取材によって徹底したリアリティにこだわった問題作、話題作を次々に発表している。主な作品に『小説 日本興業銀行』『労働貴族』『広報室沈黙す』『燃ゆるとき』『濁流』『金融腐蝕列島』『不撓不屈』『虚像』『第四権力』『小説ヤマト運輸』などがある。
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