「ポピュリズム」はどこまで広がるか:英国「EU離脱」の本質(下)

国末憲人

 残留を訴える政権や財界の戦略も、最初からピントがずれていた。

 残留派がしきりに強調したのは、経済的な利害である。「離脱すると経済的な損失が大きい」「成長も維持できない」などと、数字を細かに挙げて説得を試みた。

 しかし、庶民の意識を支配しているのは、「もうかるかどうか」というのんきな話ではない。自分たちが感じている不安と不満こそが問題なのだ。EUの規制が自分たちの仕事を妨げているのではないか。移民が職を奪うのではないか。インテリやエリートばかりが恩恵を受けているのではないか――。そのような疑問に比べれば、貿易や経済成長に伴う損得勘定などどうでもいいのである。

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執筆者プロフィール
国末憲人 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員を経て、現在はGLOBE編集長、青山学院大学仏文科非常勤講師。著書に『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)など。
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